滋賀人のシガリズム Vol.1

水と癒しのパワースポットで、
心をオフに。

三尾直文(情報誌 編集者)

滋賀県のさまざまな魅力がつまった情報誌「おでかけmoa」の編集長である三尾直文さん。各エリアの観光地や飲食店を巡ってきた三尾さんだからこそ知っている、滋賀の魅力についてお伺いしました。

〈前編〉


私は元々、滋賀県出身。以前はアパレル関係の仕事に就き神戸や京都で働いていましたが、結婚や子育てを経て滋賀のことが改めて好きになったんです。そして、地元の良さを発信したいと思い立って、広告業に転職し独立しました。今では暮らすのも滋賀、働くのも滋賀という環境にあります。

あるとき情報誌の中で、「パワースポット」について特集したことがあったんです。そのときに、担当のスタッフが「三尾さん、滝おすすめですよ!」と教えてくれたことをきっかけに滋賀にある滝を巡ってみることにしました。
普段、滋賀県内を駆け回って仕事をしていますが、根は出不精なんです(笑)でも、パワースポットについては、意識して出向くようにしていて。仕事で頑張りたいときや何か成果が出たときは、神頼みやお礼参りにいくようにしています。経営者として、会社のことをお願いすることもあります。滝の近くにもよく祠が作られていますし、水の神さまが宿っているような気がしますね。


巡った滝のひとつが、栗東市にある「九品の滝」。渓流を含めた延長が約100mもあって、湖南地方では最大の滝といわれているんですよ。滝を訪れるときはいつも、スマートフォンで何枚か写真を撮って、その後はポケットにしまってしまいます。普段フル回転させている頭と心のスイッチをオフにしたいから。そして、滝の前で足をとめて、日常の忙しさの中で見過ごしてしまったことを振り返ったり、ただ無心になってぼーっとしたりします。滝って同じ姿のときは一瞬たりともなくて、その様子を眺めている間は時が止まっているように感じてほっとするし、気持ちがすっきりするんです。それは、琵琶湖の景色も同じで、リラックスしたいと思うときは、湖畔沿いにお弁当を食べにいったりします。


滋賀は琵琶湖があるおかげで、水が豊かです。だから、なんといっても食べ物がおいしい!ご当地のグルメも色々とあって、「九品の滝」の近くにも「如意の里 ごきげんさん」という、いろり料理のお店があります。
一番人気は、近江牛を使った「元祖御牛まぶし」。そのまま・薬味・だし茶漬けと、3度味を変えられるのが楽しいし、ペロッと食べられちゃいますね。他にも、近江しゃもや山菜、鮎など、近江の食材をふんだんに使った料理を、いろりを囲んで味わうことができます。滋賀は、お米もおいしくて家でも近江米を食べていますよ。


「九品の滝」とまた違った魅力を楽しめるのが甲賀市にある「鶏鳴の滝」。高さ13m、幅11mある滝は、水量も多く迫力たっぷりです。「鶏鳴の滝」の由来は、滝の東にある笹ヶ岳の山頂の古い寺院跡の池から、元旦になると黄金の鶏が現れ、新年の幸を告げるという伝説から。この滝がある「鶏鳴八滝」では、特徴の異なる8つの滝を見ることができて、散策するのにピッタリです。

写真提供:おでかけmoa

普段忙しくしている人、SNSなどに疲れている人にはぜひ滋賀県にある滝を巡って、ただひたすらぼーっとしてほしいですね(笑)

〈後編〉


パワースポットである滝の他におすすめしたいのが湖北の伊吹山のふもとにある日帰り湯です。「伊吹薬草の里文化センター」という複合施設内の薬草風呂「いぶき薬草湯」は、ヨモギやハッカなど7種の薬草を使っていて、冷え性、腰痛、あせも、リュウマチ、神経痛、疲労回復、湿疹、しもやけ・荒れ性の効能があるんですよ。それに奥伊吹の一枚岩の花こう岩で作った日本最大級の岩の露天風呂もよくて!花こう岩に渇簾石(かつれんせき)という鉱物が含まれているから、ラジウム・ラドン泉として天然のパワーを感じることができます。売店では、薬草7種をブレンドした入浴剤もお土産用に販売されていますよ。

写真提供:おでかけmoa
写真提供:おでかけmoa

実は伊吹山は元々、薬草の宝庫といわれているんです。戦国武将の織田信長がポルトガルの宣教師に広い薬草園を開かせて、ヨーロッパから約3,000種の薬草を持ち込んだというエピソードも残っていて。この施設にも約200種の薬草・薬木が栽培されていて、自由に見学することができます。それに芝生広場や図書室なども併設されているから、地元の人には憩いの場として親しまれていますよ。


写真提供:おでかけmoa

同じ湖北の長浜市にも、「須賀谷温泉」という温泉施設があります。こちらは小谷城のふもとにあって、戦国武将の浅井長政や織田信長の妹、お市の方が湯治に通ったと伝えられています。泉質はヒドロ炭酸鉄泉で、神経痛・筋肉痛・肩こり・冷え性・胃腸病・アトピー・病後の治療・疲労回復に効果があるそうです。

写真提供:おでかけmoa

それに、温泉がある長浜のあたりは古くから観音の里ともいわれていて、庶民の信仰によって、たくさんの観音像が残されています。きっと戦国時代の武将たちの争いや小谷城の落城などの歴史を、ずっとその土地で見守ってきたんでしょうね。そういった観音像を拝観しに巡ってみても、心が穏やかになる気がします。滝に温泉。考えてみると、心が癒されるスポットって、水にまつわるものが多いですね。滋賀に暮らしていると、水に暮らしを支えられているだけでなく、心の安らぎをもらっている気がします。私にとって滋賀は、生活する土地でもあり、癒される土地。滋賀人はやっぱり、水ときってもきれない関係なんですね(笑)

精力的にさまざまな滋賀の情報を発信し、そして疲れたときは滋賀で癒される。滋賀人の三尾さんは、水と癒しのパワースポットで心のスイッチをオンにしたりオフにしたりしながら、充実した日々を送っているようです。

三尾直文(編集者/株式会社s.create)

滋賀県の魅力を多くの人に伝えたいという思いから、アパレル業界から滋賀県の情報誌も手がける制作会社に転職。 のちに(株)s.createを設立。滋賀県がもっと好きになる『おでかけmoa』の制作を手がけ、滋賀のポテンシャルの高さを発信し続けている。 滋賀がもっと好きになる!おでかけmoa運営、おとどけmoa ONLINE SHOP 運営、滋賀の住宅情報サイト「しがのいえ。」運営、印刷物の企画・制作、WEBサイトの企画・制作、イベント・セールスプロモーション、広告代理業など幅広く活動中。
https://www.shiga-create.jp/moa/
https://www.instagram.com/odekake_moa/